歯並びの種類
歯並びの種類
上顎前突 (出っ歯)
上顎の前歯、または上顎全体が前に出ている状態をいいます。
骨が原因の場合と歯が原因の場合があります。具体的な例として「上顎が大きい場合」「下顎が小さい場合」
「歯だけが出っ張っている場合」があります。
上顎前突の場合、前歯がうまく噛み合わないためうまきものが飲み込めなくなったり、上顎前歯の外傷が増えたりといったことがおこります。
上顎前突 (出っ歯)を矯正する際の矯正方法について小児矯正の場合、成長を利用して骨格的な改善を行います。
主に機能的顎矯正装置(ビムラー)や歯列矯正用咬合誘導装置(プレオルソ)といった機能的矯正装置を使用して下顎の成長を促します。
成人矯正の場合、カリエールや矯正用アンカースクリューを用いて上顎の歯列全体を後方に移動させたり、小臼歯の抜歯を行い前歯を後方に引っ込めたりといった治療になります。
反対咬合(受け口)
なぜ反対咬合(受け口)になるのでしょうか?
反対咬合とは、下の歯並びが上の歯並びより前に出すぎた咬み合わせのことをいいます。
受け口はかみ合わせが上下が反対であるため食事が正しくできないばかりでなく、発音も悪くなり、見た目にも顔が長く見えたり、しゃくれて見えたりします。
あごの関節にも負担がかかり、顎関節症になります。下あごの過度の成長や、上あごの成長不足といった遺伝的な要因と、顎を前に出すくせが習慣になって受け口になってしまう場合があります。
反対咬合(受け口)を矯正する際の矯正方法について
子供が反対咬合の場合は早めに相談するとよいでしょう。
小児矯正の場合、成長を利用して上下顎のバランスを整えることで反対咬合を改善します。
6歳までの乳歯列の場合は歯列矯正用咬合誘導装置(プレオルソ)などの取り外し可能な装置のみで改善する場合もあります。
7歳以降の場合、SLAやクワドヘリックス、フェイスマスクなどを使用して上顎の前方成長を促します。
また、遺伝的な要素が強い反対咬合の場合は成長期の終了まで観察し、成人矯正が必要となることがあります。
上下顎前突
顎の大きさと歯の大きさにズレがあり、上下の前歯が前方に傾斜することで上下顎前突になります。また、舌の癖があり歯を内側から押すことで前歯が前方に倒れることもあります。上下顎前突では、口が閉じにくい・口元が出ているなどの症状がみられます。
上下顎前突を矯正する際の矯正方法について
小児矯正では、顎の成長を促し永久歯が綺麗に並ぶスペースを作ったり舌のトレーニングを行います。
上下顎前突の場合、
・Ⅰ期治療
・Ⅱ期治療
の両方が必要な場合が多くあります。
成人矯正の場合、口元の突出感を改善するため上下の小臼歯を抜歯して前歯を引っ込めるケースが多いです。
ワイヤー矯正やマウスピースタイプの装置を使用に、必要に応じてインプラントアンカーなどの補助装置も使用します。
すきっ歯
顎の大きさと歯の大きさのバランスが合わない、歯の生えている角度がずれているなどが原因で歯と歯の間に隙間が開くことがあります。
口呼吸、飲み込みの癖などで舌で内側から歯を押してすきっ歯になる場合もあります。
すきっ歯を矯正する際の矯正方法について
ワイヤー矯正やマウスピースタイプの装置で歯を精密に動かしながらすき間を閉じていきます。また、舌の癖がある場合はMFTというトレーニングを行います。
乱杭歯(凸凹)(叢生)
叢生とは、歯の生える向きが正しい方向ではなく、重なりあったり、歯ならびがでこぼこになっている状態のことを言います。
原因として、歯が大きい場合、虫歯、あごの骨の割に歯が大きい、あごの骨が小さいなどがあります。八重歯は犬歯と呼ばれている上の歯の中でも最も根元が長い歯が、歯ぐきの上のほうから生えて、歯並びから飛びでている状態です。
顎の骨の成長不全や乳歯との生え変わりが上手くできなかった場合に生じる症状で、永久歯である犬歯が正常に萌出するスペースが確保できない場合に発生します。
歯ブラシがきちんと届かず、虫歯や歯周病になりやすい状態です。
乱杭歯(凸凹)(叢生)を矯正する際の矯正方法について
小児矯正の場合、顎の成長を利用して永久歯がしっかり並ぶためのスペースを確保していきます。SLAやクワドヘリックスなどを使用して歯列の拡大を行います。
成人矯正の場合、非抜歯矯正のテクニックを用いて叢生を改善したり、ガタガタが重度な場合は小臼歯を抜歯し歯並びを整えていきます。
開咬
開咬とは、上下の前歯または奥歯の一部が咬まなくなった状態です。上下の歯の位置や顎のズレがみられ、舌の癖や指吸いが原因であることが多い症状です。
開咬を矯正する際の矯正方法について
舌の癖、指吸いなどがある場合は、MFTというトレーニングを行います。 同時に、ワイヤー矯正やマウスピースタイプの装置により歯を精密に動かしてきれいな噛み合わせにしていきます。
過蓋咬合
過蓋咬合とは、上下の前歯が噛み合わせた時に4mm以上重なっている状態です。下唇の力が強かったり、飲み込む時に唇に力を入れる癖があることが原因となります。
成長期では、過蓋咬合により下顎の成長に影響を及ぼす可能性があります。
過蓋咬合を矯正する際の矯正方法について
小児矯正では、飲み込みのトレーニングや取り外し可能な装置で矯正していきます。成人では、ワイヤー矯正やマウスピースタイプの装置で精密に歯を動かして治療します。
矯正歯科治療に伴う
一般的なリスクや副作用について
① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。