WEB予約
お電話
LINE歯並び相談
Instagram
Youtube

口腔機能発達不全症症例

【口腔機能発達不全症症例】10代 女性「舌小帯が短い」舌小帯短縮症に対する口腔筋機能療法(MFT)

項目 内容
治療内容 口腔筋機能療法(MFT)による舌・口腔機能の改善
年齢 10歳
性別 女性
期間 1年6ヶ月
費用(税込) 保険診療
リスク・副作用 トレーニングを継続しないと機能が定着しない場合がある

1. 患者さんのご紹介(主訴・お悩み)

今回の患者さんは、10歳の女の子で、お母様と一緒に来院されました。ご相談のきっかけは、以前通われていた歯医者において「舌小帯が短いため、将来的に切除手術が必要になるだろう」と指摘を受けたことでした。親御さんは、手術という言葉に不安を感じておられただけでなく、お子さんの発音についても心配されていました。
特に、英語の発音がしにくくなるのではないか、それがお子さんのコンプレックスに繋がるのではないかという点を心配されていました。

当院では、こうした「単に形が短い」という物理的な問題だけでなく、それが日常生活の「食べる」「話す」といった動作にどのような影響を与えているかを重視し、お話を伺いながら診察を進めていきます。

 

2. ご来院時の状態と診断

お口の中を詳しく拝見したところ、以下の症状が認められ「口腔機能発達不全症」と診断しました。

①舌小帯短縮・ハート舌
舌の裏側にあるヒモ状の組織である舌小帯が、通常よりも短い位置で付着しており、舌の動きを制限していました。無理に舌を突き出そうとすると、中央が引っ張られて「ハート型」のようなくぼみができてしまいます。この状態は、舌を上顎に持ち上げる動きを妨げる原因の一つと考えられました。


②舌突出癖および異常嚥下癖
唾液や飲み物を飲み込む際、通常は舌が上顎についた状態で飲み込むとされていますが 、患者さんの場合は舌を前歯の隙間から前に出してしまう「舌突出癖」が見られました。それに伴い、飲み込む瞬間に口の周りの筋肉(口輪筋)に過剰な力が入り、唇を強くすぼめてしまう「異常嚥下癖」も認められました。

③咀嚼機能の不足と姿勢の問題
硬いものを避ける傾向があり、奥歯でしっかり噛み砕く力が不足していました。また、鼻詰まりが原因で日常的に口呼吸となっており、その影響で頭が前に出るような猫背の姿勢が定着していました。さらに、食事の際に足が床についておらず、踏ん張りがきかないために、舌や顎の筋肉に正しい力が入らない環境になっていたことも判明しました。

【コラム】口腔機能発達不全症とは
食べる、話す、呼吸するといったお口の機能が十分に発達していない、あるいは正常に獲得できていない状態を指します。歯並びや全身の姿勢、健やかな発育に影響を及ぼすため、早期のトレーニングが重要です。

 

3. 治療計画

当院では、いきなりメスで切除する手術を行うのではなく、まずは生活習慣の改善と全身のトレーニングから段階的にアプローチする計画を立てました。

①検査と目標設定
専用の器具を用いて「舌圧」と「口唇圧」を測定し、客観的な数値をもとに治療前の基準を明確にしました。

②生活習慣と姿勢の改善
「足がつく椅子で背筋を伸ばして食べる」「ながら食べをしない」といった食事環境の改善を優先しました。また、就寝時のマウステープで鼻呼吸を促す習慣づくりも取り入れました。

③呼吸と筋肉のトレーニング
「ピロピロ(吹き戻し)」を使用して、呼吸に必要な口周りや呼吸機能を鍛えるとともに、舌をスポット(正しい位置)に置く練習や、舌を吸い上げて音を鳴らすポッピングの練習を段階的に進めることとしました。

【コラム】舌のスポットとは
舌の先端が位置すべき正しい場所のことで、上顎の前歯のすぐ裏側にある膨らんだ部分を指します。ここに舌が収まっていることで、正しい呼吸や飲み込みにつながると考えられています。

 

4. 治療時

患者さんの成長段階に合わせ、約半年から1年かけて、通院しながらトレーニングを行いました。

①全身呼吸トレーニング
4段階の強度がある「ピロピロ」を使用しました。最初はレベル1も難しかった状態から、1か月程度でレベル3まで吹けるよう、肺活量と呼吸の基礎力を高めていきました。

②ガムトレーニング
硬めのキシリトールガムを使用し、単に噛むだけでなく「丸めてボールにする」「上顎にくっつけて伸ばす」「唾液を正しく飲み込む」といった一連の動作を練習しました。これにより、現代の食生活で不足しがちな「前歯でかじり取る力」や「舌を使いこなす力」を身につける練習を行いました。

③継続のための工夫
トレーニングは習い事と同じで、ご家庭での継続が欠かせません。管理ブックを作成し、できた日に印やシールを貼ることで、本人のやる気を引き出しながら進めました。

 

5. 治療後・予後


長期間のトレーニングの結果、当初は全く出せなかった舌がしっかり出せるようになり、ハート舌の状態も改善しました。以前より発音しやすい様子が見られ、舌を正しい位置で維持できる合格ラインに達したため、一旦トレーニングを終了しました。現在は定期的なメンテナンスに移行し、お口の機能が維持されているかを随時確認しています。

当院では、必要に応じて手術の適応も検討しながら、まずはトレーニングによる機能面へのアプローチを重視しています。 お子さんの舌の形や飲み込み、発音が気になる方は、ぜひ一度当院へご相談ください。

 

監修:すすむ歯科・矯正歯科
院長 近藤 崇伸
経歴
2002年 愛知県立瑞陵高等学校卒業
2009年 長崎大学歯学部 卒業
名古屋大学医学部歯科口腔外科 入局
2011年 医療法人ナディアパークデンタルクリニック 勤務
2013年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯科矯正分野 入局
2016年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 修了
長崎大学客員研究員・臨床承認医
すすむ歯科・矯正歯科勤務
名古屋、大阪、長崎の複数のクリニックにて矯正治療担当

副院長 近藤 康次
経歴
2009年 私立東海高等学校 卒業
2016年 鹿児島大学歯学部 卒業
名古屋大学医学部附属病院歯科口腔外科 入局
2018年 東海市開業医勤務
2020年 すすむ歯科・矯正歯科勤務