インビザライン矯正は、透明なマウスピースを使って歯並びを整える治療方法で、見た目の目立ちにくさから幅広い年齢層に選ばれています。しかし、治療中に「奥歯のマウスピースが浮いてパカパカする」「マウスピースがしっかりはまってない感じがする」といった違和感を覚える方も少なくありません。これを放置してしまうと、噛み合わせのトラブルや治療効果の低下を招くおそれがあります。
今回は、インビザライン矯正中に奥歯がパカパカする原因や、放置することで起こりうるリスク、さらに対処法について解説します。
1. インビザライン矯正中に奥歯がパカパカする原因とは
インビザライン矯正中に「奥歯がパカパカする」と感じる理由は、いくつの要因が考えられます。この原因を理解することで、不安の軽減や適切な対応がしやすくなるかもしれません。以下に、インビザライン矯正中に奥歯がパカパカする主な原因を解説します。
①マウスピースの適合性によるもの
マウスピースは一定期間ごとに交換して少しずつ歯を動かしていく仕組みです。新しいマウスピースに交換した直後は、歯とマウスピースの間にわずかな隙間が生じることがあり、奥歯が浮いたように感じることがあります。
②奥歯が咬合面(噛み合わせ)から外れている
マウスピース矯正では、前歯から順に歯を動かしていくことが多く、奥歯が一時的に噛み合わない状態になることがあります。これは「咬合の一時的なアンバランス」によって生じる現象です。
③歯の移動による一過性の違和感
歯列全体が徐々に動いている過程で、噛み合わせの感覚が一時的に不安定になることがあります。特に奥歯は咀嚼の要になるため、少しのズレでも「パカパカ」とした違和感につながりやすい傾向があります。
④マウスピースの着用時間が不十分
インビザラインは1日20時間以上の着用が推奨されていますが、これを下回ると歯の移動が計画通りに進まず、マウスピースが適切にフィットしなくなる可能性があります。その結果、奥歯がしっかり当たらなくなることがあります。
⑤マウスピースの変形や劣化
熱湯にさらしたり、不適切な洗浄を行ったりすると、マウスピースがわずかに変形し、正しく装着できなくなることがあります。小児の場合、マウスピースを口の中で外して遊んで咬み潰してしまうことがあります。これも奥歯の浮き感を引き起こす可能性があります。
インビザライン矯正中の奥歯のパカパカ感は、さまざまな要因が絡み合って起こるため、自己判断せずに歯科医師に相談することが大切です。
2. インビザライン矯正における奥歯のパカパカを放置するとどうなる?
「そのうち慣れるだろう」と奥歯の違和感を放置すると、予想以上に大きなトラブルへ発展することがあります。以下に、インビザライン矯正における奥歯のパカパカを放置するリスクを解説します。
①噛み合わせの乱れが進行する可能性がある
奥歯が浮いた状態を放置すると、本来の咬合位置が維持できず、噛み合わせがさらに不安定になることがあります。これにより、食事中に物が噛みにくくなるだけでなく、歯や顎関節への負担も増加する可能性があります。
②顎関節症のリスクが高まる
噛み合わせがズレたまま過ごすと、顎に無理な力がかかることで、顎関節に痛みや違和感が出る場合があります。悪化すると、口を開けにくい・開閉時に音が鳴るといった「顎関節症」につながる恐れもあります。
③矯正治療の効果が得られにくくなる
奥歯が正しく噛み合っていないと、歯列全体のバランスが崩れ、マウスピースによる矯正力が予定通り発揮されない可能性があります。結果として、治療期間が延びる、または理想の歯並びにならないという事態を招くことがあります。
④歯のトラブルが起こりやすくなる
奥歯が浮いた状態だと、咬合力が一部の歯に偏ってしまい、特定の歯に大きな負担がかかります。これが原因で歯がすり減ったり、根の部分に炎症が起きたりするケースもあります。
⑤口腔内のバランスが崩れることも
噛む力のバランスが崩れることで、無意識に片側ばかりで噛む癖がつき、結果として筋肉の使い方がアンバランスになったり、顔の左右差が目立ちやすくなったりすることもあります。
奥歯のパカパカする状態をそのままにしてしまうと、歯や顎、矯正治療全体にまで影響が及ぶ可能性があるため、早めの対応が重要です。
3.インビザライン矯正に奥歯がパカパカする際の対処法
インビザライン矯正中に奥歯がパカパカする感覚がある場合には、以下のような対処法があります。
①チューイーの活用
チューイーとは、シリコン素材でできた小さな筒状の器具です。マウスピースを装着した状態でチューイーを数分間しっかり噛むことで、歯とマウスピースの密着性が高まります。これにより、奥歯が浮く感覚の改善につながることがあります。
②マウスピースの着用時間を守る
インビザラインは、1日20時間以上の装着が推奨されています。着用時間が不足すると、歯が計画通りに動かずマウスピースとの適合が悪くなることがあります。浮きやすくなった奥歯のパカパカする状態を改善するには、まず正しい着用時間を確保することが重要です。
③マウスピースの変形や破損をチェックする
マウスピースは熱や力に弱く、変形してしまうと歯に正しくフィットしません。熱湯消毒をしたり、使用方法が悪かったりすると、歪みや浮きの原因になります。マウスピースが変形している場合は、無理に使い続けず歯科医師に相談しましょう。
④歯医者で定期的なチェックを受ける
インビザライン矯正は自宅での管理が中心となる治療ですが、数週間ごとに歯科医院での診察が必要です。奥歯の浮きが続く場合や違和感が強い場合は、マウスピースの設計を調整したり、補助的なアタッチメントを追加したりといった対処が必要になることがあります。
⑤マウスピースの交換スケジュールを見直す
マウスピースの交換スケジュールが早すぎると、歯が追いつかず奥歯が浮いてしまうことがあります。逆に、交換が遅れすぎていても矯正効果に悪影響を与えるため、歯科医師の指示通りに進めることが大切です。必要に応じて、交換のタイミングを再調整することもあります。
⑥歯ぎしり・食いしばりの有無を確認する
夜間の歯ぎしりや日中の食いしばりの癖がある場合、マウスピースに余計な力が加わり、浮き感の原因になることがあります。歯ぎしりを指摘されたことがある方は、マウスピースの摩耗状況を確認し、必要であれば歯科医師に相談しましょう。
奥歯の違和感は自己流で対処せず、歯科医師と連携して適切に対応していくことが、矯正治療を成功に導くためのポイントです。
4. 名古屋市天白区の歯医者 すすむ歯科・矯正歯科の矯正治療
名古屋市天白区の歯医者すすむ歯科・矯正歯科では大人から子どもまで、患者さんのニーズに合わせた様々な矯正治療をメニューを用意しています。
《大人の矯正治療》
歯並びや咬み合わせはもちろん、唇や横顔のラインの美しさまで考えた矯正治療を提供しています。
①ワイヤー矯正
重度の歯並びの矯正が可能です。
すすむ歯科・矯正歯科では「クリアブラケット」を使用した目立ちにくい矯正治療が可能です。口ゴボ治療にも対応しています。
②舌側矯正
矯正装置が見えにくい、むし歯になりにくい矯正治療です。
③マウスピース矯正(インビザライン矯正)
取り外しができ、目立ちにくいマウスピースを用いて歯を動かす矯正治療です。
④部分矯正
前歯の気になる箇所だけを部分的に治療することも可能です。
▼大人の矯正治療の詳細はこちら
https://susumu-dental.com/kyousei/ortho/
《子どもの矯正治療》
子どもの矯正治療はキレイな永久歯の歯並びのために大切です。
矯正治療を始める時期についてもお気軽にご相談ください。
①マウスピース矯正(インビザライン・ファースト)
多くの種類の不正咬合に適応しています。途中で生え変わりが起こっても治療が行えます。
②歯列矯正用咬合誘導装置(プレオルソ)
口周りの筋肉バランスを整え、正しい顎の発育・歯列の発達を促します。
③機能的顎矯正装置(ビムラー)
下顎が小さい出っ歯の症状を改善する装置です。
④マルチブラケット
捻れやガタガタの歯並びを整えるワイヤー式の矯正装置です。
▼子どもの矯正治療の詳細はこちら
https://susumu-dental.com/kyousei/kids/
「インビザライン」「インビザライン・ファースト」による矯正治療においては遠隔リモート矯正「インビザライン・バーチャルケア.AI」を導入しています。ご自宅でお口の写真を撮影し、送付するだけで、通常1~2か月おきの通院を3~4か月おきにすることができ、通院回数を半分以下にすることができます。お忙しい方や、お子さんを連れてのご来院が大変な親御さんからご好評いただいています。
▼「インビザライン・バーチャルケア.AI」の詳細はこちら
https://susumu-dental.com/kyousei/mouse_space/remote.html
まとめ
インビザライン矯正中に奥歯がパカパカする感覚は、一時的な違和感で済むこともありますが、放置してしまうと噛み合わせの不調や矯正治療の失敗につながるおそれがあります。チューイーの使用や正しい装着習慣、定期的な診察など、基本的な対策をしっかりと行うことが重要です。奥歯の違和感を感じたら、早めに歯科医師に相談し、適切な対応を行いましょう。
名古屋市天白区周辺でインビザライン矯正に関するお悩みがある方は、すすむ歯科・矯正歯科までお気軽にご相談ください。
監修:すすむ歯科・矯正歯科
院長 近藤 崇伸
経歴
2002年 愛知県立瑞陵高等学校卒業
2009年 長崎大学歯学部 卒業
名古屋大学医学部歯科口腔外科 入局
2011年 医療法人ナディアパークデンタルクリニック 勤務
2013年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯科矯正分野 入局
2016年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 修了
長崎大学客員研究員・臨床承認医
すすむ歯科・矯正歯科勤務
名古屋、大阪、長崎の複数のクリニックにて矯正治療担当
副院長 近藤 康次
経歴
2009年 私立東海高等学校 卒業
2016年 鹿児島大学歯学部 卒業
名古屋大学医学部附属病院歯科口腔外科 入局
2018年 東海市開業医勤務
2020年 すすむ歯科・矯正歯科勤務