| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 治療内容 | 抜歯 ワイヤー矯正 |
| 年齢 | 40代 |
| 性別 | 女性 |
| 期間 | 約2年半(通院回数約30回) |
| 費用(税込) | 診断料 55,000円 装置代 968,000円 調整料 1回5,500円 固定(保定)料 55,000円 抜歯 1本11,000円(4本で44,000円) |
| リスク・副作用 | ・歯周病で歯を支える骨が減少している場合は治療が適応できない場合があります ・40代以降は装置に慣れるまで時間がかかり、噛み合わせの変化に違和感を覚えやすい傾向があります ・矯正治療中は歯に痛みや違和感が生じることがあります。 ・装置の周囲に汚れが残ることで、むし歯や歯周病のリスクが高まる場合があります。 ・歯の移動に伴い、歯根吸収(歯の根が短くなること)や歯肉退縮(歯ぐきが下がること)が生じる場合があります。 ・治療終了後も、歯並びが後戻りする可能性があります。 |
1. 患者さんのご紹介(主訴・お悩み)
40代女性の患者さんです。これまで歯のメンテナンスは他院で受けていましたが、歯並びについて相談するため、当院へ来院されました。以前から歯並びが気になっていたものの、若い頃には矯正治療を受ける機会がなく、年齢とともに歯のガタガタが強くなってきたとのことでした。特に、上の前歯が出ている見た目や歯磨きのしにくさが気になっており、今後さらに歯並びが悪化するのではないかという不安から、40代になった今でも矯正治療が可能か相談されました。
2. ご来院時の状態と診断
来院時は、上下の歯が重なり合って並ぶ「叢生(そうせい)」と、上の前歯が下の前歯に深く被さる「過蓋咬合(かがいこうごう)」が認められました。
上の前歯が前方に出ている一方、上下の前歯がうまく噛み合っておらず、奥歯に噛む力が集中している状態でした。また、日常的に強い食いしばりの癖もあり、奥歯への負担が大きくなっていると考えられました。 食いしばりなどによって歯に継続的な力が加わると、歯並びや噛み合わせに影響する場合があります。今回も歯並びの乱れに加え、歯にかかる力のバランスを考慮する必要がありました。
精密検査では、歯周病がなく、歯を支える骨である歯槽骨も矯正治療を行える状態であることを確認しました。成人の矯正治療では、年齢だけでなく、歯周組織や歯を支える骨の状態を確認することが重要です。歯周病が進行している場合には、矯正治療に先立って歯周病の治療や管理が必要になることがあります。
以上の状態を踏まえ、今回は上下左右の第一小臼歯を計4本抜歯し、歯を移動させるスペースを確保したうえで、上下のワイヤー矯正によって歯並びと噛み合わせを整える方針で治療を進めることとしました。

叢生は、歯が重なったりねじれたりして、歯列がガタガタになっている状態です。歯ブラシが届きにくい部分が生じることがあります。
過蓋咬合は、噛み合わせたときに上の前歯が下の前歯を深く覆う状態です。噛む力のかかり方に影響する場合があります。
3. 治療の流れ
①初診・精密検査
矯正相談で来院された際に、お口の状態を確認し、精密検査を行いました。その結果、歯周組織や歯槽骨の状態から、矯正治療が可能と診断しました。
②抜歯によるスペースの確保
上下左右の第一小臼歯を1本ずつ、計4本抜歯しました。歯の重なりを改善し、前方に出ている歯を移動させるためには、歯列内にスペースが必要となる場合があります。今回は抜歯によって歯を動かすためのスペースを確保する治療を行いました。
③ワイヤー矯正による歯の移動
上下の歯にマルチブラケット装置を使用し、歯並びを整える治療を進めました。
今回は、ワイヤーと装置の間に生じる摩擦を抑える仕組みを持つ「セルフライゲーションブラケット」と、細いニッケルチタンワイヤーを使用しました。
これらを組み合わせ、歯に加わる力や痛みに配慮しながら、段階的に歯を移動させました。

④歯並び・噛み合わせの調整
月1回程度の通院で装置を調整し、約2年半にわたって治療を行いました。
⑤矯正装置の撤去と保定
約2年半の矯正治療を経て、ブラケット装置を撤去しました。
治療後は、前歯のねじれなどの後戻りを抑えるため、上下の歯の裏側にワイヤーを固定する「固定式リテーナー」を装着しました。
さらに、夜間は取り外し可能なマウスピース型のリテーナーも併用し、歯並びの維持を図っています。
リテーナーは、矯正治療で動かした歯の位置を維持するための保定装置です。歯の裏側に固定するタイプと、取り外し可能なタイプがあります。矯正治療後は歯が元の位置に戻ろうとすることがあるため、適切な保定と経過観察が重要です。
4. 治療のポイント
①40代からの矯正治療における歯周組織の確認
今回の患者さんは40代でしたが、歯周病がなく、歯槽骨も矯正治療を行える状態でした。矯正治療の可否は年齢だけで決まるものではありません。40代・50代以降でも、歯や歯周組織の状態によっては治療を検討できます。一方で、歯周病などによって歯を支える組織が弱くなっている場合には、慎重な判断が必要です。
②将来の歯の健康を考慮した矯正治療
今回は、前歯の見た目を整えるだけでなく、歯が重なって磨きにくい部分を改善し、日常の歯磨きがしやすい口腔環境を整えることも目的としました。 また、前歯がうまく噛み合わず、奥歯に大きな負担が集中していたため、噛む力を複数の歯に分散できるよう、噛み合わせの改善も重視しました。このように、見た目だけでなく、歯磨きのしやすさや噛み合わせにも配慮し、将来の歯の健康を考慮した治療を行いました。
③歯の移動に伴う痛みへの配慮
今回使用したセルフライゲーションブラケットは、装置とワイヤーの間の摩擦を抑える構造を持っています。細いニッケルチタンワイヤーと組み合わせ、歯に加わる力に配慮しながら治療を進めました。ただし、矯正治療中の痛みや違和感には個人差があり、装置の種類によって痛みがなくなるわけではありません。
5. 治療後・予後

矯正治療後は、上下の固定式リテーナーと夜間のマウスピース型リテーナーを併用し、歯並びの後戻りに注意しながら経過観察を行っています。
歯並びが整っても、矯正治療によって移動した歯が元の位置へ戻ろうとすることがあります。特に抜歯を伴う矯正治療では、移動した歯の位置や歯列全体の状態を継続して確認することが重要です。また、固定式リテーナーの周囲は汚れが残りやすいため、日常の歯磨きに加えて、定期的な歯医者での清掃や装置の状態確認も必要です。
当院では、年齢だけで矯正治療の可否を判断するのではなく、歯周病の有無や歯を支える骨の状態、噛み合わせなどを確認したうえで、患者さんのお口の状態に応じた治療方法を検討しています。また、治療後の歯並びを維持するための保定と経過観察にも取り組んでいます。
年齢とともに歯並びが変化してきたと感じる方、40代・50代からの矯正治療を検討している方は、名古屋市天白区の歯医者 すすむ歯科・矯正歯科へご相談ください。
監修:すすむ歯科・矯正歯科
院長 近藤 崇伸
経歴
2002年 愛知県立瑞陵高等学校卒業
2009年 長崎大学歯学部 卒業
名古屋大学医学部歯科口腔外科 入局
2011年 医療法人ナディアパークデンタルクリニック 勤務
2013年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯科矯正分野 入局
2016年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 修了
長崎大学客員研究員・臨床承認医
すすむ歯科・矯正歯科勤務
名古屋、大阪、長崎の複数のクリニックにて矯正治療担当
副院長 近藤 康次
経歴
2009年 私立東海高等学校 卒業
2016年 鹿児島大学歯学部 卒業
名古屋大学医学部附属病院歯科口腔外科 入局
2018年 東海市開業医勤務
2020年 すすむ歯科・矯正歯科勤務